納税者様とお話したり、SNSなんかを見ていると
よく「この内容で通ってる」とか、「これで毎年税務署に通ってますよ」と
仰るかたが一定数いらっしゃいます。
この「通る」のニュアンスでモヤっとすることが多いので、まとめてみました。
ただ単に提出して受理されたケース
確定申告書を自分で作成して税務署に提出した、または、
税務署の確定申告作成コーナーにてその場で申告書を作成して提出したケース。
どちらも、申告の内容は置いといて無事に申告できた!というニュアンスの「通った」かと思います。
正直、申告書を持参して受理されなかったケースってあまり聞かない気がします。
添付書類に不備があったら後日郵送してくださいと言われるケースが多いです。
たとえば給与所得の記載漏れがあったとしても、
窓口の人はわからないのでその場では受理されると思います。
受理されなかったケースってどんなでしょうね。
作成コーナーで「源泉徴収票忘れた!」となったら一度お帰りください、とかなるんですかね。
なんにせよ、この「通った」は単に「提出できた!」ですね。
確定申告書を提出して、後日還付を受けたケース
フリーランスの方は特に、収入から源泉徴収されているので還付申告になる方が多いかと思います。
これまたよくある話なんですが、
還付を受けた=税務署に認められた!(=通った!)となる納税者様も多いです。
逆に還付を受けられないケースというのは
・還付口座を書き忘れた
・予定納税の金額が違った
などなど、明らかに不備があるときです。
なので、本来扶養に入らない人の分が扶養控除されていたり、過大な必要経費が計上されていたりしても、基本的には一旦還付されます。
一旦というのは、還付申告を基に税務調査が入って是正、というのは本当によくある話です。
消費税の還付申告なんかは、提出後に確認の電話がよくきます。
つまり何が言いたいかというと、還付されたからと言って「確定申告が通った」は気が早いです。
グレーな経費を計上して申告していたケース
このケースが一番モヤっとしますね。
私的な経費(交際費、消耗品あたりが多いですね)を何年も計上したり、
本来雑所得になるような所得を事業所得で申告したりしていても
税務署から何の連絡もなくお咎めなし=通った!と解釈されている方もいらっしゃるようです。
たとえば、必要経費の場合、所得税には「家事費」という概念があります。
平たく言うと、売上に直結しないものは経費になんないよ、ということです。
なので私的な経費は基本ダメです。法人でも否認されることがあります。
じゃあなんでお咎めないの、って話ですよね。
税務署は膨大な確定申告資料を毎年、全員分見ているわけではありません。
数千円、数万円の過小申告に税務職員の人件費をかけてらんないですからね。
基本的には、納税額が多い方、所得が不自然に少なくて怪しい方を中心に税務調査を行って内容を確認して是正を行います。3年分をまとめて見るケースが多いです。
なので「通った」と思っていても、ある日、税務調査で否認されることは全然あります。
つまり、それ通ってないですよ。
税務調査で何も言われなかったケース
これはぶっちゃけ微妙です。
調査で他に大きな間違いがあって指摘に至らなかったか、
単純に捜査官が見落としているケースもあります。
「通った」と言うには早い気もしますが
金額的にも小さいケースが多そうなので、
そんなに気にしなくても良いかと思います。
調査官に指摘され、説明して納得して貰えたケース
ここまでいけばグレーなものも通ったと言えるでしょう。99%。
残りの1%は、調査官も人間なので、人によって判断が異なる可能性があります。
まあでも「通った」と言っていいと思います。
ただし、これは自分が調査を受けた場合に限ります。
税務の世界は100人いたら100通りの判断ができるように
ある程度余白を持たせた法律のつくりになっています。
ある人がOKだったらと言って、他人のケースに当てはまるとは限りません。
まとめ
上記は私見と独断と偏見が含まれていますのであしからず。
要するに何が言いたかったかというと、
・ネットの情報鵜呑みにしない
・自称確定申告通の知人の言うことを鵜呑みにしない
・グレーな経費を入れるのは自己判断。調査があったら説明できるように。
といったところです。
とは言え、自分の申告内容について過度にビクビクする必要は無いです。全くもって無いです。
胸を張って、これは事業に関係ある!と説明できればいいんです。ちょっと不安だったら、家事按分すればいいんです。
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